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創作料理のお勉強

 一部で大好評(?)「何かに似ている」コーナー。

 研究と料理は似ています。ただし,とりあえず僕の専門である社会科学に話を絞ります(他分野はさっぱり分からないので)。

 論文はレシピです。すなわち,こんな素材をこのように料理すれば,こんな美味しいものができます,ということを他の人に伝える手段です。

 研究者はプロの調理師です。調理の方法には色々あって,凝った調理法を極めるフランス料理のシェフもいれば,最低限しか手を入れずに素材の良さを生かす技術をもつ和食の板前のような人もいます。

 同じ肉,同じ魚を使っても,調理師や調理法が違えば全く別の料理ができあがります。「こんな味にしたい」という目標を作れば,その目標に到達するためにどっちの調理法が優れているか,という点で優劣はつけられますが,単にフランス料理と日本料理のどちらが優れているかという比較はできません。
 料理を食べさせるにせよレシピを教えるにせよ,そういう手段を用いて他人に伝えることがなく自分でただ作って食べるだけの人は単なる消費者,素人です。

 1人または複数の他人が書いた論文をレビューするというのは,料理の盛り付けです。盛り付けの仕方というのも料理において大事な要素です。盛り付け方だけでも,上手にやれば調理法の一種とみなせることもあります。ただ,盛り付けは調理師が料理を作らないことには使えないので,かなり上手にやらないと評価されません。それこそ「この盛り付けは大海原を表現しているようだ!」(『美味しんぼ』のような驚きで)ってぐらいでないと。


 今日の調理実習は「創作料理実習」なるもので,レシピを3本使って自分が考えたオリジナル料理のアイディアを示せ,という課題が出されていました。発表者はドクター,つまり皮むきだけの見習いではなく,実際に料理を考えないといけない人でした。

 その人は,はるか昔の人が考えた料理を3つ,そのまま作りました。料理のレベルとしては肉を単に炒めただけ,焼いただけで,もちろん料理の基本ではあるのですが,「創作料理実習」で扱うには不向きな料理です。

 さらにそれを大鍋のまま盛り付けずに僕らの目の前に出し,「食え。そして感想を聞かせろ。この料理が創作料理にとってどんな意味があるかを言え」と言いました。

 僕は発表の構想を聞いたときから「あなたがどんな料理を作りたいのか教えてよ」と散々問い詰めていたんですが,それは結局提示されることなく,何度も「この料理が創作料理にとってどんな意味があるかを言え」というのを繰り返すだけでした。さらに問い詰め続けたら,「時間がなかった」「そもそもこの『創作料理実習』の計画が間違っている」と逆ギレを繰り返す始末。

 先生に「事前にコメントを提出するように」と言われていたので,「見習いに料理のネタを一から教えてもらおうなんて甘すぎる」(実習に出ているのは,その人のほかは僕を含め「見習い」しかいませんでした)と書いておきました。実習後,先生は僕に「いいコメントや。ただ,そのまま言うのはさすがに憚られたけどな」(先生は実習中に僕のコメントを丸く言い直してくれていました)。

 真っ当な批判を受け入れず(ちょっと言い方キツかったけどな。後輩の僕に指摘されるレベルの話ではないやろ),時間を言い訳にし(こっちも忙しいのにあんたの指定したレシピ読んだんや。100年以上前の英語をな),挙句先生のやり方まで批判する(そのやり方が嫌なら実習に出なければよかろう)。そんな40代のオッサンに僕はなりたくない。
書いた人 うきょー | comments(0) | trackbacks(0) |




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