短く書いたからといって,「コンパクトにまとめた」とはいえない。
「コンパクトにまとめた」とは,通常その分量の文章に含まれる以上の情報量が含まれている場合にいえる状態だ。つまり,たとえば50ページ書ける(書いた)けど,内容はそのままで文章量を削って40ページにした,ということ。もちろん,同じ量の情報が含まれているのであれば,文章量が少ない方が優れていることはいうまでもない。
しかし,通常30〜40ページ要求されるところを,25ページ書いて「コンパクトにまとめた」というのは,それは単に25ページしか書けなかったことの言い訳にすぎない。たとえ頭の中に100ページの構想があったとしても,それを形にできなければ評価はされない。
はじめからコンパクトにまとめることができる天才的な人ならともかく,並の院生であれば,一度多めに書いてから削っていくことを推奨する。
そもそも,文章というのが自分の考えを他人に伝える手段である以上,締め切り間際に書き上げて,一度も誰にも読まれない状態で提出した論文なんて,出来がよいわけなかろう。