「四球より打たれたほうがまし」に異論 神大教授が分析
いや,プロ野球は比較的容易にデータが集まって,統計分析しやすい対象ではあるけどさ。これはあまりに稚拙な分析でないですか?「神大教授」なんて発言に権威を与えられる人が,こういう無責任な調査結果を発表するのはどうかと。
記事の中でプロ野球解説者の広岡氏は,精神的なところに反論の根拠を求めてますが,僕はもう少し調査そのものについて反論してみます。
ツッコミどころ第一は,データ入手方法が「ビデオ録画」ということ。これはつまりTV中継のある試合のみということを意味していると思われます。となると必然的に「人気球団」の試合のみに偏りができますな。もしかして神戸で多く放送されている阪神戦のみを分析の対象としてるんじゃ・・・なんて推測も出てきてしまいます。これでは「プロ野球」全体を対象とする調査とは言えません。ただ,サンプルについては記事で詳しく触れられていないので,実際どうなのかはよく分かりませんが,まあまさかこんな統計分析のイロハぐらい経済系の学者先生ならよく分かってらっしゃるでしょう(過去の研究業績を探ると統計分析使ってるし)。
第二に,「四球より打たれたほうがまし」という野球解説者の通説は,「弱気で逃げにいって四球を出すぐらいなら,勝負しにいって打たれた方がまし」という意味だということ。「先頭打者に四球」というのも,あっさり歩かせてしまうのか,それともカウント2−3までいって,際どいところでボール判定されて歩かせるのか,質に違いがあるはず。そういう違いを考慮せずに,単純に数だけで判断するのは,全く意味がない分析ですな。せめてコントロール変数として,「ストライクカウント」とか,「その打者への投球数」を投入することが必要なのではないかと。
自分の専門外のことに首つっこんで,適当な調査をするのは,発言に権威が与えられる人がやることじゃないですな。まあもちろん読む方も簡単に信じちゃいけないんですが。こういうのは「教授」じゃなくて,「野球好きのおっさん」による調査と思うのが正解かと。