昨日のエントリで触れた,フィードバックの文書。ちょっと具体例を出してみましょか(具体例といいながら,中身には触れられないので,やっぱり抽象的になってしまうのですが)。
Aという結果に影響を与える要因がX,Y,Zとあります。式で表すなら,A=aX+bY+cZ(a,b,cは定数)。
「上」の社員は,Xが増えればAが増えると考えています。それはある意味正しいのですが,あくまでYとZが一定という条件下における話です。YとZが減れば,Xが増えてもAが減るという可能性があります。彼女はそれを無視してるようです。
数式じゃ分かりにくいので,もっと具体的な例を。Aを大気中の二酸化炭素の量としましょう。で,Xが人間のはく二酸化炭素の量,Yを工場から出る二酸化炭素の量,Zを自動車から出る二酸化炭素の量と考えます。
彼女はどうにかして二酸化炭素の量を減らしたいのですが,彼女は,二酸化炭素を出すのは人間だけだと認識しています。で,「人間が呼吸を止めればいいじゃない」という案を出すわけです。
この案がどれだけ馬鹿げているかは,賢明な読者の皆様ならお気づきかと思います。たしかに人間も二酸化炭素を出しますが,人間の呼吸が大気中の二酸化炭素の総量に与える影響なんてたかがしれてるわけで,原因はそこじゃない。もっと他の要因に目を向けるべきなんですよ。
つまり,正確に原因をつきとめずに,「原因らしきもの」を原因だと決め付け,それをどうにかするように指示を出しているのです。
もちろん,正確に捉えるにはそれなりのコストがかかります。ビジネスの現場ではそのようなコストを払っていられない場合もあるでしょう。その仕事をやってる者の直感を頼りに,正確な根拠がないながらも原因と決めないといけないこともあります。
しかし,彼女はこの仕事を始めて日も浅い新人であり,現場を経験してるわけでもないので現場の人間特有の直感もないのです。勝手な思い込みで仕事をされると,振り回されて迷惑なんです。
・・・てな感じのことを,できるだけ分かり易い形にまとめて書こうとしてるんです。上の内容は全体の内容のごく一部ですがね。